IKIJIの流儀34-袖を振る

衣服には、袖が有るものと無い物がありますが、この袖には体を覆うだけでなく、その袖に伴う仕草で色々な意味をもたらしております。「袖にする」はあまりいい表現ではありませんが、「袖を振る」は意中の人への求愛の仕草でもあり、またはその返事の意味もあったようです。袖を左右に振ると承諾、前後に振ると拒否の意味で相手は「振られた！」と理解したようです。

カーディガンと言えば前が開いたニットですが、名前の由来はカーディガン男爵からとも言われております。元来ニットは前が開かない被りのプルオーバーでした。つまり前を開けるニットは作るのが難しかったようです。カーディガン男爵は上着もシャツも前が開けられるのにニットだけが前が開かないので、何とか前を開けられないかと苦慮し、上着の下のヴェストを見てこの作り方が出来ないかと依頼したようです。

そうして出来上がったのが、ヴェストに袖が付いたもの、スリーブドヴェストでした。その頃ちょうど産業革命が起き、家庭で作られていたニットが工場で作られる様になり、難しかった前開きのカーディガンも普通に作られるようになりました。その汎用性から男女共に多くのファンを得るようになり、その後逆に袖を外したニットのヴェストをスリーブレスカーディガンと呼びようになりました。

今シーズンのIKIJIでは久々にカーディガンを提案しております。ウール１００％の針抜きのカノコという伸縮性があるのにしっかりと安定した編地で、小粋なちょっとロールした上衿が付き、バランスのいい５釦で腰にパッチポケットが付いたお洒落なカーディガンです。少しゆったり目に作られているので、腕が上がりやすく袖が振りやすい作りになっておりますが、このカーディガンを着ている限り振られるとは無縁だと思いますが？

WOOL SMALL COLLAR CARDIGAN(スモールカラー カーディガン)
※2色展開
《受注生産商品》

￥33,000(with tax)