IKIJIの流儀4 - 何れが菖蒲か杜若

5月5日は端午の節句、男の子が居る家では兜や鯉のぼりを飾りお祝いし、男の子が居ない家でも柏餅を食べたり、菖蒲湯に浸かる風習がありますね。この菖蒲湯はかなり歴史が古く中国から伝来したもので、春から夏への季節の変わり目の端午に体調を崩さないようにと薬湯として広まり、日本では宮廷から端午の節句に使われるようになり、江戸時代に長寿や健康を願う風習として一般化したようです。


江戸時代には長屋暮らしの庶民たちが、5月5日の夜か6日の朝に湯屋に行き、菖蒲湯を楽しんだようです。菖蒲湯は薬湯の一種でその独特の香りで悪疫を退散させようとした民間療法で、冬至の柚子湯と共に現代でも庶民の風物詩となっておりますね。江戸時代には、


    銭湯を沼になしたる菖蒲かな   菖蒲湯や菖蒲寄り来る乳あたり
 等と詠まれていたので、さぞや菖蒲の葉がいっぱいだったのでしょう。


この湯に使われている菖蒲の葉は実は「サトイモ科の菖蒲」で花が綺麗な花菖蒲は「アヤメ科の菖蒲」で紛らわしいですね。そしてアヤメ科の中に「菖蒲(アヤメ)」が別にあり「カキツバタ」があるのです。つまり菖蒲湯の菖蒲だけが別物なのです。何れがアヤメかカキツバタは似たようなもので選択するのに優劣つけがたく迷う時に使う例えですが、これも元々は12人の美女から一人を選ぶ時に決められずに迷った時に詠まれたものでした。


今シーズンのIKIJIには前回に引き続き、ボタニカルの天然染料で染めたシャツが展開を始めました。先ずは春の代表の淡いさくら色の「桜」、そして日本古来の繊維としても使われ美しい色になった「藤」、最後に日本人の肌色に最も合うと言われる色に染め上った「菖蒲(あやめ)」です。どれも迷うほどの春にもってこいの魅力的はシャツばかりです。


本当に、何れがアヤメかカキツバタと口に出てしまった逸品ぞろいです。当然優劣は付けがたくご趣味に合う色合いを是非とも店頭でご覧頂きたいです。

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