IKIJIの流儀21-頭巾は日本の風土なり

 今や、小さい子に「パーカー、知っている?」と聞いたら「僕知っているよ!」あるいは「私着ているよ!」等と直ぐに返ってくると思われるくらいポピュラーな着るものですが、元々は毛皮などで作られたフードが付いた防寒着の名前でした。日本に入って来たのは約半世紀くらい前に、ヨットの帆のナイロン生地(スピンネーカー)で作られたウインドブレーカーのフード付のヨットパーカーが最初といわれています。

  その後、アスリート用に裏毛のスウェット素材で作られたジャージーのパンツとフードのスウェットシャツが、なぜか日本では一般的にパーカーと呼ばれるようになり、アスリートだけでなくミュージシャン達が着て、そして若者のストリートファッションではジーンズと共に代表的なウェアに発展しました。つまり日本ではフードが付いた軽量なウェアの総称となっています。

 フードは日本語では頭巾ですが、この頭巾は江戸時代に流行ったファッションのひとつなのです。江戸時代の男に帽子は無く、頭に被るのは三度笠のような笠でしたが、これは旅などの時で、一般的には頭巾で武士や僧侶、一般庶民まで用途により丸形、角形、三角や袖形、風呂敷形など30種類以上にも上ります。弁慶の法師頭巾や鞍馬天狗の宗十郎頭巾などが有名ですが、江戸の庶民の憧れはなんと言っても火消し。その火消しが被るのは鼻や口を塞いで目だけが出る紺の木綿の刺し子の猫頭巾でした。

 今シーズンのIKIJIのパーカーは定番の裏毛以外にソフトなタッチのダンボールニットで、この江戸時代の火消しの頭巾からのモチーフで、従来のフードの定義の前端のドローコードも無くし、首から顎までを覆う頭巾形の立体的なフードになっております。そして何よりも首を覆った関係で背中のヨークを利用してのベンチ―レーションを施す、優れモノとなっております。この春は粋な頭巾形のパーカーがお奨めですよ。

 

 

TPS縫製カジュアルパーカー

¥32,000

 

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