IKIJIの流儀特別編6-福田隆・福田隆太

今年は、様々な業種の方へのインタビューを通して、ファッションや文化について学んでいきたいと思います。2弾のインタビューは、組紐職人の福田隆さん・隆太さん親子です。伝統工芸を現代のニーズに合わせてアレンジし、組紐の可能性にチャレンジする彼らに伝統と革新について伺いました。

近江(以下:近):今日はよろしくお願いします。お久しぶりです。初めにお会いしたのは、確か45年前だったと思います。まずは、簡単な自己紹介をしていただいて、組紐について簡単に説明していただければと思います。最後に伝統を守っていくことの大切さと新しいことへの挑戦に関してお伺いできればと思います。

福田隆(以下:隆):よろしくお願いします。今年で132年目になるのですが、5代に渡り、組紐業を営んでいます。糸づくりから始まり、染色、組み作業まですべての工程を工房内で一貫して行っています。

一番の思いは、何百本もの糸を均一に組んでいく仕事になるのですが、組紐というのは、人と人を結び付けたり、人とコトをつないでいく。漢字に辿ると、結ぶ、繋ぐ、紡ぐ(つむぐ)など糸偏がついているものが多く、組紐の原料である生糸に例えて、人と人をつなぐ仕事ができればいいと思って現在に至っています。

組紐を組む丸台は、天板を鏡といって、自分の心を映し出す鏡だと思ってやってきたのですが、息子が入ってすべてが変わってしまって。丸台の鏡と言われる天板を90度動かして組み始めて・・・。それを見てなんて失礼なことをと。しかし組んだものをみて、これは有りだと。

江戸の粋は進化させないと意味がないということが分かり、組紐は人と人、人とコトをつなげる役割を持っているので、新しいものを作りはじめるのは、いいなと。

精神論で継承させていくという思いばかりでいてはいけない。伝統技術を保持するためには、着物を着る機会が減少している中で、職人たちを守っていくためには、技術を活かして新しいモノづくりをしていかなければ、続けられないだろうと思い、お互いを信じあいながら、新しい分野のチャレンジ、これは組むということから離れなければいいという考えに変わりました。

お陰様で、エルメスの店舗のディスプレーを始め、ホテルなど異業種からの引き合いが増えています。帯締め、帯締めというばかりではダメだと。変えなくてはいけないのは、自分の頭だったと思い知らされましたね。

福田隆太(以下:隆太):時代に合わせて作った結果が、製品になってくるので、表現することはやめずに、用途を変えて作り続けていくということをやっています。

近:なぜ新しいことに挑戦しようと思ったのですか?丸台の位置を90度変えることは、何か理由があったのでしょうか?

隆太:元々はお客様からの要望で、懐中時計をひっかける紐が欲しいと言われて考えていた時に、ひっかける部分の組み方を変えるだけで表現できないかと試行錯誤していて思いつきました。

その後、様々な業界を超えた挑戦をしている中で、初めは、そこまで販売数も多いわけではなかったのですが、知ってもらうことを第一に考えて挑戦していたら、エルメスにつながっていった感じです。可能性の模索の中の1つですね。

近:今後の目標はありますか?

隆太:「組紐で世界をつなげたい」という事に尽きます。組紐って取り入れやすい工芸で、なんでも使えるというところがあるので、もっと身近に取り入れられる存在になるように、使ってもらえるものづくりや表現をしたいと思っています。異業種とのコラボも、お客様に存在を知ってもらい、組紐に興味を持ってもらえたらと思っています。

近:何か一緒に出来るといいですね!今日はありがとうございました。

トップス:製品染めスタンドカラーシャツリネンシャツ

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