IKIJIの流儀18-プレミアムフリース
日本では古来からあまり防寒着がありませんでした。何枚か重ねて着るのが普通でした。江戸時代からは、丹前という綿入れの羽織物で「どてら」とも言われたものを着るようになりました。この原型は吉原の有名な遊女だった勝山の衣裳からのようです。勝山は神田の風呂屋の湯女で、その場所は堀丹後守の前にあったので、丹前風呂と呼ばれそこで着ていたので丹前(注1)になったようです。
ねんねこに母子温くしや夕落葉 (注2)
ねんねこ半纏も同じく綿入れの羽織物ですね。やはり寒さにはやっぱり人肌の温もりとともに綿入りが一番です。西洋での綿入りはキルティング、特に寒い地方や国では、羊のボアかフリースをインナーに付けるのが多かったです。フリースというと日本では、「ああ、あのユニクロが大ヒットさせたポリエステルのフリース!」となりますが、欧米ではゴールデンフリース。その名の通り金の羊毛であり、歴史的な金羊毛騎士団の象徴でもあるのです。
その金羊毛騎士団の勲章は、一頭の羊の毛をリース状に輪で繋ぎその下に一頭の子羊がリボンで吊し上げられているのです。この吊し上げられた子羊を、あの米国のブルックスブラザーズは自身のお店の全商品の品質をギャランティする意味で、ゴールデンフリースとして意匠登録しております。ゴールデンフリースは西洋では貴族階級の象徴でもあり、その後の毛織物業のシンボルにもなりました。
IKIJIは貴族ではありませんが、貴族よりも粋なところがあります。気張って凄いだろうなんてことは野暮ですので、良く見たらこいつは凄いという洒落の世界です。羊のフリースをポリエステルで安く大量に作るのではなく、IKIJIはなんとカシミヤでフリースを作ってしまいました。それもオフタートルとクルーネックの2型です。触れて頂いたら、カシミヤの風合いを最大限に活かすのはフリースだと実感すること間違いないです。これを独りで着るのはもったいないです、もう一人の温もりと供にですね。
(注1) 厚く綿を入れた日本式の上着
(注2) 昭和を代表する女流俳人 中村汀女の俳句