IKIJIの流儀27-江戸のパロディー

 江戸時代と現代では、社会や生活スタイルはまるで違いますよね。ただ素晴らしい進歩は医療体制でしょうか?町医者の時代から、現代の医学や病院、治療から予防まで、こんなに整うなんて江戸時代の人たちから見れば、現代は正に夢物語ですね。特に幕末の1862(文久2)年には、多くの人がはしか(麻疹)などで命を落としています。

 

 当時は医療技術よりも印刷技術の方が発達していたので、「はしか絵」と呼ばれる錦絵や養生書といった出版物を通じて、病気に関する情報が飛び交っておりました。はしか絵は「麻疹退治」の絵で、はしかによって商売があがったりの人たちが、寄ってたかってそのはしかの鬼を退治している様子を描いておりますが、逆にはしかによって儲かっている医者や薬屋がその鬼を助けている、まさに不思議な絵です。

 

 これは、実効的な対処が出来ない幕府へのコミカルな絵でのパロディーとなっています。感染症の脅威に萎縮しながらも、この時代に疫病よけの妖怪「アマビエ」など、つらい状況を笑い飛ばす事が、庶民には危機を乗り切るために不可欠だったのでしょう。非常事態の中でも自粛だけでなく、江戸庶民は今の私たちよりも高度な生活文化を持っていたようで、このコロナ禍の中で、私たちは江戸庶民から学ぶべきこともあるように思えます。

 

 絵といえば、IKIJIのキャラクターの「面の皮梅」も尾形光琳の「光琳梅」からのパロディーで、戯作家の山東京伝が元々デザインしたものをモディファイしています。この笑っているか、泣いているかも分からない不思議な「面の皮梅」は、これを見る人々に不思議に福をもたらしていたようです。一枚のパロディーの絵から江戸の時代も現代でも、その思いは庶民の力になって生き続けていると思います。