IKIJIの流儀12 - 暑気払い

暑い暑い夏になりますと、昔から体を冷やす効果のある食べ物や飲み物を頂
き、体に溜まった熱気を打ち払う「暑気払い」というのがありました。現代の
ような冷蔵庫が無かった江戸時代には、「体を冷やす効果のあるもの」として
枇杷や桃の葉を煎じた「枇杷葉」という薬湯を飲んでいたようです。その後に
、単に夏場の暑さやストレスを発散する名目での宴会や飲み会を指すようにな
りました。


 夏と言えば、土用の丑の日に鰻を食べるのが一般的になっておりますが、元
々は丑の日に「う」のつくものを食べると縁起がいいと言われ、「梅干し」や
「瓜」、「うの花」等を食べる事でしたが、いつのまにか鰻の独占市場になっ
てしまいました。それは皆さんご存知の平賀源内先生が、懇意の鰻屋から商売
繁盛のお知恵をと頼まれ、「本日土用の丑の日」と一筆したため、これを戸口
に貼っておけと言われ、それを見た人たちが長蛇の列になったようです。


 "ささがしの牛蒡のそばで皆ころし"
 なんとも物騒な句ですが、ささがしとは鉛筆を削るように野菜を削ぎ切る「
笹掻き」の江戸訛りで、煮えたぎる鍋のささがしの牛蒡のそばで生きたどじょ
うをまんま煮込む、これを皆殺しといったのです。江戸っ子は暑い盛りに汗だ
くになって、味噌や七味唐辛子や山椒で味付けした「どじょう汁」をふうふう
すすりこんで、夏バテを防ぐスタミナ食としていたようです。


 ところで江戸ではどじょうではなく、「どじやう」でしたが、鍋になると「
どぜう」になってしまう。これは「牛」は生きたままでは「うし」ですが、食
べ物の肉になると「ぎゅう」と呼ばれるのと同じで、「どじやう」は生きた状
態で「どぜう」は食べ物に加工された状態を指している。つまり「どじやう汁
」は生きたどじょうをそのまま料理で、「どぜう鍋」はあらかじめ骨まで軟ら
かく下茹でした姿煮や裂いて頭を落として骨や内臓をきれいに取り除いた開き
身を用いております。今年の夏も猛暑です暑気払いには、是非とも江戸庶民が
好んだ「どぜう鍋」は如何でしょうか?